[9.19]戦後日本で“軍事政権”が始動した日  成瀬 裕史

■他国軍の応援に自衛隊の「武力行使」が可能に

 9月19日未明、安保法案(すなわち「戦争法案」)が参院本会議で可決・成立した。

 これにより、我が国への「直接的攻撃」に対する防衛にのみ行使可能であった「自衛隊の武力」が、
時の政権の“恣意的判断”により、「他国軍への応援」に行使可能となってしまった…。


■繰り返された「行政」「立法」府による「憲法無視」

 これまで、多くの憲法学者をはじめ、元内閣法制局長官や元最高裁長官までもが「違憲」を表明した「集団的自衛権の行使」。

 昨年の7月1日には、「行政府」たる内閣において、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定が行われた。

 続いて昨日、「立法府」たる国会において、安全保障関連法
「我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律」
「国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律」
が参院で可決され、成立した。

 三つに分かれている(筈の?)我が国の「権力」のうち、「行政」と「立法」で「違憲行為」を容認した今、最後に残ったのは「司法権」のみとなってしまった…。
  

■自国の「主権」よりも「米国」を優先した、日本の「首相」と「自衛隊幹部」

 今回成立した安保関連法の「違憲性」はさておき、我が国における“国権の最高機関”である「国会」の承認前に、
「行政府の長」たる安倍総理は今年4月、「米国」議会上下両院合同会議で演説し、安保法制の成就を「約束」した。

 また自衛隊制服組トップの統合幕僚監部幕僚長が昨年12月、米陸軍参謀総長との会談で、安保関連法案について「来年夏までには終了すると考えている」と述べたとの会談資料の存在を、9月2日の参院特別委員で共産党の仁比議員が“暴露”した。


■「非戦国家」日本は、いつの間にか「軍事国家」に!?

 今年4月、ニューヨークでの日本の外相・防衛相と米国務長官・国防長官による「2+2」会談で、
新ガイドライン「日米防衛協力のための指針」が改定された。

 先の首相や自衛隊幕僚長の「事前約束」も含め、いつから我が国・日本の「政府」や「外務省」「防衛省・自衛隊」は、
交戦権を認めない「憲法」や、国権の最高機関たる「国会」を、
「平気で無視する」ことが出来るようになってしまったのであろう?

 戦後日本が目指した、「平和国家」「立憲国家」「民主国家」が、戦前の「軍事国家」「軍事政権」に“逆戻り”してしまった感がある…。

 まさか、戦勝国「アメリカ」の占領政策が今も続き、
我が国の「憲法」「主権」よりも、占領軍たる「米国軍・国防省」の方針の方が、
いつの時でも「最優先される」という訳でもあるまいが…?


■“非戦”を取り戻す、「訴訟」と「選挙」「国民審査」

 安保法成立前の9月16日、松阪市・山中市長は、
国に対して参院での法案議決や法律公布のための閣議決定の差し止めなどを求め、東京地裁に提訴した。

 現行の「軍事政権(?)」下、「非戦国家」たる我が国の「憲法」に“違反”する安保法法制を「止める」ためには、
我が国の「三権」の最後の砦、「司法権」たる裁判所に、「差し止め」を提訴するしかない。

 また、この「司法権」に、「主権者」たる国民の意思を反映させるためには、
衆院議員総選挙の際の「最高裁判所裁判官国民審査」で、
「安保法制を“違憲”としない者は必ず落とす」との「示威行動」も必要である。
(次の国民審査の対象(任官直後または審査後10年経過)は2名だけだが、いずれも裁判所出身者で、「示威行動」の効果は高いと考えられる)


 また、現在の「軍事政権(?)」を「非戦政権」に取り戻すためには、
次の国会議員の選挙(順当だと来年夏の参院議員選挙)で、
主権者国民が、その主権の唯一の行使である「投票」で「意思表示」をするしかない。

「安保法案に“賛成”した者は必ず落とす」と…。


 我が国・日本を「非戦国家」に取り戻す、主権者・国民のたたかいが、今、まさに「始まった」のである…。


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  • 最終更新:2015-09-20 13:34:19

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