「深い反省」だけじゃない、今年初めて加えられた天皇陛下の「お言葉」の数々  成瀬 裕史

 終戦の日の8月15日、天皇陛下は、日本武道館で行われた全国戦没者追悼式で、「さきの大戦に対する深い反省」とのお言葉を盛り込まれた、と報道された。


 宮内庁HPで公表されている陛下のお言葉を閲覧すると、
HPに記録のある平成元年以降、昨年の平成26年までは、ほとんど同じ内容の「お言葉」が続いていた。

 しかし、戦後70年を迎えた今年は、「深い反省」以外にも、新たな「お言葉」が加えられている。


 冒頭の「さきの大戦において,かけがえのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い,深い悲しみを新たにいたします」は昨年と全く同じであるが、

次の「国民のたゆみない努力」の前には、
「戦争による荒廃からの復興,発展に向け払われた」
というお言葉が加えられ、

続く「今日の我が国の平和と繁栄」の前には、
「平和の存続を切望する国民の意識に支えられ」
というお言葉が加えられた。

 また、昨年までの「苦難に満ちた往時をしのぶとき」が、
「戦後という,この長い期間における国民の尊い歩みに思いを致すとき」に変わった。

 そして、昨年の「ここに歴史を顧み,戦争の惨禍が再び繰り返されないことを切に願い」が、
「ここに過去を顧み,さきの大戦に対する深い反省と共に,今後,戦争の惨禍が再び繰り返されぬことを切に願い」となり、

以下、最後の「全国民と共に,戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し,心からなる追悼の意を表し,世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります」は、昨年と同じである。
(巻末の陛下のお言葉の今年と昨年の比較を参照)


 違憲である集団的自衛権行使を可能とさせる「安保法案」を、強行採決や会期延長により何としてでも成立させようとしている、現・安倍政権に対する“危機感”が、

これまで殆ど変わることのなかった全国戦没者追悼式での陛下のお言葉に、異例とも言える「変化」を与えたのではなかろうか…?

 国民のたゆみない努力による「戦争による荒廃からの復興,発展」や、
「平和の存続を切望する国民の意識に支えられ」た今日の我が国の平和と繁栄という、
「戦後という,この長い期間における国民の尊い歩み」が、

集団的自衛権行使による“参戦”で、「水泡に帰す」ことにはならないだろうか…?

 このような国民の「不安な気持ち」を陛下は代表され、

また、今回 戦後70年の安倍首相談話では「過去の言及」にとどまった、「痛切な反省と心からのお詫びの気持ち」についても、

戦争の惨禍が再び繰り返されないことを切に願い、の前に、
「さきの大戦に対する深い反省と共に」と「今後」というお言葉を、付け加えられたのではないだろうか…?


 今後、「安保法案」を審議する参院の国会議員、そして再可決となるであろう衆院り国会議員の面々は、
「国民の象徴」であられる天皇陛下の、国民の声を代弁された「お言葉」をしっかりと受け止め、
「主権者・国民」の「真の代表」として、「安保法案」の是非を決していただきたいと、切に願う…。



平成27年全国戦没者追悼式での天皇陛下のおことば[[]内は平成26年]

 「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たり,全国戦没者追悼式に臨み,さきの大戦において,かけがえのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い,深い悲しみを新たにいたします。[昨年と同じ]

 終戦以来既に70年,[昨年:69年]

戦争による荒廃からの復興,発展に向け払われた国民のたゆみない努力と,
[昨年:国民のたゆみない努力により]

平和の存続を切望する国民の意識に支えられ,
我が国は今日の平和と繁栄を築いてきました。
[昨年:今日の我が国の平和と繁栄が築き上げられましたが,]

戦後という,この長い期間における国民の尊い歩みに思いを致すとき,感慨は誠に尽きることがありません。
[昨年:苦難に満ちた往時をしのぶとき,感慨は今なお尽きることがありません]

ここに過去を顧み,さきの大戦に対する深い反省と共に,今後,戦争の惨禍が再び繰り返されぬことを切に願い,
[昨年:ここに歴史を顧み,戦争の惨禍が再び繰り返されないことを切に願い]

全国民と共に,戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し,心からなる追悼の意を表し,世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。[昨年と同じ]

天皇陛下のおことば(平成27年)

天皇陛下のおことば(平成26年)

天皇陛下のおことば(平成25年)


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  • 最終更新:2015-08-16 00:42:09

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