ケータイ・スケッチ ~路傍の季~ にんまり・・・三国章<宝塚>
あわてんぼうは、どこにでもいるもんやね。
そやけど、あわてんぼうには、どこか憎めないところがある。
そのあわてんぼうがいた。
猫額の庭の片隅を陣地とする芝桜の村は、まだひっそりと枯れ野原。
が、過日なにを勘ちがいしたものやら、ぽっかりと二輪。
うん確かに、陽はやわらぎ、めくる暦は啓蟄。
とはいっても、ものにはそれなりの摂理があるんやで。
椿、梅、桜、桃・・・その後やで、おまえの出番は。
なにも、説教がましいことを言いたくはないんやけど、
北は吹雪逆巻く荒れ模様とか、
素っ頓狂なピンクのせいもあるんやろうけど、
やっぱり、ちょっと可笑しいんとちゃうか。
でもなお陰で、
にんまりという気分を久しく忘れていたことを気づかせてくれた。
道向かいの桜の枝先が、遠目にぼうっと薄紅を差している。
陽気のせいか、針を刺すような左の肩の上げ下げが
いくぶん楽になってきたようだ。いや、気分のせいかやろうか・・・
- 最終更新:2014-03-13 17:23:24