住民(国民)投票について  八代 勝美

  所謂 住民投票(又は国民投票)については、日本国民は殆ど経験していなかったが、「大阪市廃止・特別区設置」の是非を問う住民投票が大阪市民を対象として行われました。市町村合併について、関係自治体住民に意見を聞く投票は平成の大合併の際、行われたが、これは投票結果に、地方公共団体の長(市町村長)及び議会が拘束されないので、大阪市の住民投票や憲法改正のための国民投票とは異なります。私は地方公共団体に勤めていたことがあるので、大阪市の住民投票に関心を持ち見てきました。大阪市廃止に賛成するのか反対するのかの立場を越えて、果たして大阪市側(大阪市長は大阪市廃止の急先鋒である)が、大阪市民に判断するための情報正確に提供していたか否かです。結論を言えば、提供などしていなかったと言わざるを得ません。。以下、その理由を示しておきます。
 大阪市側が、市民に提供した資料は次の三点であつた。
  (1) 「特別区設置協定書」(大阪府・大阪市特別設置協議会)
  (2)   「特別区設置協定書について  説明用パンフレット 」
     (大阪市)
  (3) 「投票公報  大阪市における特別区設置についての投票」
     (大阪市選挙管理委員会)
(1)はA4版 695頁に及ぶもので、詳細に記述されている。
  大阪市の現有資産目録及びその評価額が記載しておる部分を除いても、227頁に及ぶ資料である。これを読む市民などいないと思われる。しかし、ここに大阪市廃止の是非 判断するために欠かすことができないデーターが載せられている。それは特別区の事務分担である。特別区が権限・財源も持たないまま、広範な事務 執行することになるからである。都市行政・都市政策に必要な権限は奪われたまま、日常教務に忙殺される特別区の姿が見えてくる。
 これを読了できる人 限られると思われる。地方公共団体で行政事務(規制行政)に携わったことのある筆者でも一苦労でした。
   
 (2)は、(1)をピックアップしたもので、大阪市長 橋下氏(補助職員を含む)が市民に説明するための資料である。全市39箇所で市長が特別区設置について説明した。しかし、その内容たるや、都構想推進側の意見・見解だけが載せられている。公費(市費)を使った「大阪維新の会」宣伝の場であった。2時間30分という短い時間で、市長の弁舌に過半をとられているからである。
  
 (3)は、唯一、大阪市廃止にノーという側の意見・見解が載せられている資料である。賛反 両方の市議会議員の意見がのせられているものであり、一番 読まれたものかも知れない。
 
 住民投票(民衆投票)を繁用したのは、あのナチスめヒトラーです。政府が重要な政策を企画するとき、それに対する国民の意見を直接問う、というものでした。
 
 1932年11月12日 国際連盟脱退 賛成95.1%
1934年8月19日  ヒトラーが大統領と首相を兼ねた国家元首になる  賛成 89.9%
 ヒトラーが己に不利になるようなこと出したとは思えませから、一種の翼賛であったと思われます。
   
 わが国では憲法改正が俎上に上ること必至ですが、公職選挙法による縛りもなく、広報宣伝活動やり放題となる可能性大です。大阪で、それが示されています。
 マスメディアも、大阪市(そして総務省)も、そして所謂 行政法学者と称される人達も、このこと検証しようとしていません。
     私は、其のことが政治危機の一つと思っています。      


  • 最終更新:2015-06-25 19:21:32

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