混乱する、大阪府・大阪市特別区設置に関連して    八代 勝美

 大阪の特別区設置[1]にからみ、法定協議会の運営 混乱しています。大阪府は累積債務6兆円(公営企業を含む)、大阪市は累積債務5兆円(公営企業を含む)の削減が現下の急務なのに、果たして市民生活向上に資するがわからないのに、こんなことに熱中しています。大都市の自治・財政制度を研究対象としている私は、大阪の知人に、何故あんなことになるのか聞いて見ました。朝日新聞2014.7.1朝刊 社説に「大阪の混乱 橋下維新に大儀はない」という題目の小論考 載せられていたからからです。
  以下  知人の私的見解です。みなさんこれを読んで意見 お聞かせください。

   法定協議会[2]のメンバー差し替えや会派離脱表明府議会議員の法定協終了までの離脱非承認など、最近の橋下市長のやり口は強引さが増し、やくざの口上と振る舞いそのものでしょう。
 しかし、彼の行動原理は連綿と続いているものであり、状況が悪くなって強く出てきているだけですので、私たちは呆れかえるもののいまさら驚きはしません。
 橋下市長の行動原理やレトリックについては北海道大学の若手哲学者、中島岳志が見事に解説してくれています。
・ウェブサイト「橋下徹の言論テクニックを解剖する」
・「橋下徹大阪府知事こそ保守派の敵である」『表現者』第39号
・「橋下徹「ハシズム」を支えているものは何か」『創』第460号
 『表現者』の論考だったと思いますが、中島は橋下市長が政治家転身前に書いた文章から、次の事例を紹介しています。
 八代様はご記憶でしょうか。何年かに一度物議をかもし出す西宮戎の福男競争ですが、2004年正月神社の開門時のこと、消防士の仲間たちがその一人を優勝させ一番福を勝ち取らせるために、手を繋ぎずらりと人垣を作ってライバルたちの出足を遅らせ、俊足の消防士の男がぶっちぎりで一番福を獲得したのですが、後から苦情が寄せられ映像も何度も放映されて非難が高まり、結局一番福を辞退するところまで追い込まれてしまったという事件です。
 橋下市長はこの事件にコメントして、こんなことを述べていたと思います。
 僕は仲間と図って一番福を獲得した消防士の男は立派だと思います。西宮神社の福男競争の規則に仲間と連携したり、ライバルを妨害したりすることを禁じるものは無かった。この男はたいへん知恵を働かせて、グレーゾーンをうまく付いて、競技に勝ったのだ。にもかかわらず、よく分かりもしない道徳のようなものを出してきて寄ってたかってこの男をたたくメディアや世の良識者こそおかしいのであって、そんな道徳こそ危険だと言わざるを得ない。僕はこの消防士の男こそ評価し、いっしょに仕事をしたいと思う。
 彼には法律で明確に禁止されていない限り何でもやっていい、その間隙を見つけて行動できるものこそが称賛されるべき勝者であって、道義やら常識やらに縛られている奴らは人の後塵を拝するばかりの哀れな敗者なのだ。そんな思想が常に彼の行動の根っこのところにあります。ですから、地方自治法などの法令に明文化されていない部分は己の都合を最大限になるように振舞います。
 地方自治法に条例案・予算案は専決処分が可能だと書いてあれば、どんなに市民に大切なものであれ、自分にとって都合が悪ければ容赦なく専決処分を下します。法廷協のメンバー差し替えも、規約に府議会・市議会の会派構成を反映するというのは暗黙の了解であって明文化されていませんし、府議会の議会運営委員会は維新の会がたまたま過半数を占め委員長ポストも占めていますから他会派がどんなに反対しようとも議決できます。橋下市長以下維新の会の議員にとって『民主主義』のお題目にとらわれている者こそ愚の極み、そんなことで『決められる政治』ができると思っているのか、持っている権力は最大限使ってこそ自らの使命を全うすることなのだ、そんな風に考えているのです。
 有識者ヒアリングなど最初から口実作りなのは明らかで、佐々木信夫教授のような都構想デマゴーグのような人が大半でした。府市大都市局の制度設計案で粉飾を重ねて出した都構想効果額があまりに小さく、そこまでやっても670億円とかそこらで、共産党市議が二重行政解消など府市統合効果のみを再試算したところ9億4千万円しかなかったと明らかにしています。先の橋下市長のわがまま出直し選挙でも5億7千万円浪費したわけですから、大山鳴動してネズミ一匹どころの話ではない、膨大な時間と公金のロスであることは明々白々、いまだに都構想に期待を寄せる財界人や学者がうじゃうじゃいることが信じられません。だからこそ、橋下市長は効果額が世にばれると直ちに有識者会議を開いて効果額では計れない都構想の効果を宣伝しようと言い始めたのですが、大阪都構想をそんなに高く評価している有識者とされる真っ当な学者は非常に少なく、結局自分のブレーンの特別顧問連中ばっかりをヒアリングした。そんな成り行きは橋下市長が提案した段階で見え透いていたので、自民党市議たちが無駄なのとだ勝手にやっていればいいと切り捨てたので、形ばかり甲南大学名誉教授 高寄 昇三 先生を一人だけヒアリングに招いたのです。ただ、マスメディアも分かっているので、橋下ブレーンのよいしょ講演の内容は報道せず、高寄先生の批判ばかり記事にしていたので、橋下たちが怒っていました。
 終始こんな感じですので、日本全体のなかではもうどうでもいい存在になっている橋下市政ですが、近くでウォッチしている私どもからすると、人間性が成熟しないまま社会的地位を得た者のわがままを延々と押し付けられている、民主主義などの理念など理解できないジャイアンのごときいじめっ子によって牛耳られている小学校の教室に267万市民を擁する大阪市全体が成り下がっている、そんな状況が何年も続いているという認識です。

  ゜[1]   「大都市地域における特別区設置に関する法律」平成24年法律第八十号
    [2] 大阪府・大阪市特別区設置協議会
      文責    八代 勝美
 



  • 最終更新:2014-07-06 14:32:28

このWIKIを編集するにはパスワード入力が必要です

認証パスワード