目に余る行政のムダ 大城洋

 
 一昨年、民間人で委員を構成する沖縄県の事業棚卸しで、那覇市の与儀公園に県立図書館と那覇市立中央図書館が3mの間隔で建っているのは二重行政のムダであると指摘されたが、担当課は県と市は別だから二つあっても別段可笑しくないとして現状維持を主張した。しかし翌年、県立図書館基本構想検討委員会の審議を経て同市旭町への移転が決められた。過去30年来二つの公立図書館が並んで建っていた沖縄ならではのシュールな光景は、間も無く是正されるが、まだ問題がある。

 同館の施設管理は、過去5年間同じ業者に随意契約で委託されている。今後どうするのだろうか。県職員宿舎の管理に関わる○○公社との間で長年続いて来た随意契約は、事業棚卸の場で担当課から直ちに競争入札への変更が表明された。しかし同じように日本復帰前から○○協会と千万円単位で続いている恐るべき随意契約・庁舎等の電気保安管理は、現状通りで押し通された。他の業者では能力的に不可能と言う理由だが、電気技術者が少なかった昔ならいざ知らず今時信じられない話である。

 随意契約には競争が働かないので、事業費が割高になり県の財政を圧迫する。また特定業者との癒着や汚職を生じやすいので地方自治法で厳しく制限され、例外は明示された特別の場合のみに限って認められる。県の随意契約の多くがこの例外規定に該当していない。明確な自治法・会計法違反だが、当事者達にその認識が無い。棚卸し本番に先立って委員の間で、担当部署の責任問題・社会問題に発展させないように、コッソリとさりげなく是正させるにはどうしたらいいものかと真剣に検討されたと聞く。その後行われた包括外部監査では、県の委託事業の8割が随意契約である事が判明している。

 契約の相手が公社・協会・センター等と、一目でそれと分かる名称が多いのも特徴的。まるで県の事業が幹部OBや天下り組織のためだけにあるかの如きである。ハイエナどもが寄ってたかって食い散らかしているために、県民にとってホントに必要な事業、例えば待機児童の解消等では、予算が無い・無い袖は振れないと言う事になる。県の予算は足りないのではない。ムダが多すぎるのだ。これを事業棚卸しで指摘されても、さしたる問題ではないと内輪で勝手に総括して、それを理由に翌年から棚卸し自体を止めてしまった。

 この問題は昨年、日本復帰後41年目にしてようやく県議会でも取り上げられた。しかし県議が担当部署以上に内情を知るはずもなく、ことごとくはぐらかされて、民間人が覗いたら仰天する様な随意契約が今も盛大に行われている。県内マスコミも、講壇的な平和や民主主義の話には熱心だが、県民生活に直結する具体的なテーマには関心がない。既に3千億円の沖縄振興一括交付金の配分を巡って、ハイエナどもの跋扈・暗躍が活発とも聞く。庁舎は豪壮だが中身は幼稚で役所の体をなしてない。ホントに今のままでいいのか。内輪だけで決めずに広く県民に問うべきである。

コメントを投稿するには画像の文字を半角数字で入力してください。


画像認証



  • 最終更新:2014-08-03 14:21:09

このWIKIを編集するにはパスワード入力が必要です

認証パスワード